モノよりヒト
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メイクをほめられて一体何の意昧があるのだろう。
60代も後半を過ぎたのに、いつも、黒っぽい服しか着ない人がいた。
サングラスも決まって黒。
黒のタイトスカートは100枚以上もってるという。
思わず私はわけを聞いた。
「すれ違った時、あの人の服が素敵だったと言われたくないの。できればこう言われたい。あの人、とても素敵だったけど、何を着てたんだろう?って。だからいつも私自身が引きたつようにって、黒ばかり着るようになったの」
そのせいか、年齢からすれば地昧すぎる黒の服が、じつに華やかに見える。
服だけほめられて何の意味があるの?と彼女は言った。
本当にそうだ。
メイクだって同じ。
以前取材した"化粧フリーク"は、メイク上手になりたくてなりたくて、ハウツー本を読みあさり、メイクスクールにかよってプロ並みのテクを身につけたが、会社の先輩たちに「あなたメイクがめちゃめちゃうまいよね」「ホントにスゴイ」「プロ並み!」と散々ほめられ、少しもうれしくないことに気づいてしまう。